七十二候(しちじゅうにこう)とは?読み方・意味・一覧
今日の七十二候
立秋(8月7日入り)から9日目にあたり、現在は「次候」に入っています。次の節気(処暑)まではあと8日です。
今日・明日の七十二候
今後7日間の七十二候
| 日付 | 曜日 | 節気 | 候 |
|---|---|---|---|
| 8月16日 | 日 | 立秋 次候 | 寒蝉鳴ひぐらしなく |
| 8月17日 | 月 | 立秋 末候 | 蒙霧升降ふかききりまとう |
| 8月18日 | 火 | 立秋 末候 | 蒙霧升降ふかききりまとう |
| 8月19日 | 水 | 立秋 末候 | 蒙霧升降ふかききりまとう |
| 8月20日 | 木 | 立秋 末候 | 蒙霧升降ふかききりまとう |
| 8月21日 | 金 | 立秋 末候 | 蒙霧升降ふかききりまとう |
| 8月22日 | 土 | 立秋 末候 | 蒙霧升降ふかききりまとう |
七十二候とは
七十二候(しちじゅうにこう)は、二十四節気の1つ1つ(約15日間)を、さらに3つに分けて季節の移ろいを表したものです。1つの区切りを「候(こう)」と呼び、1節気につき「初候(しょこう)・次候(じこう)・末候(まっこう)」の3候、24節気×3=合計72の候があります。1候は約5日間です。
「二十四節気」の「気」と「七十二候」の「候」を合わせたものが「気候」の語源とされ、もともとは農事暦として季節の目安を示すために作られました。立春の「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」、啓蟄の「桃始笑(ももはじめてさく)」、夏至の「菖蒲華(あやめはなさく)」など、動植物や自然現象に季節を託した美しい言葉が並びます。
決まり方・計算方法
基本の考え方
二十四節気は太陽の黄経を15度ずつ24等分して決まります。七十二候は、その1節気(約15日)をさらに3等分し、前半約5日を「初候」、中間約5日を「次候」、後半約5日を「末候」とします。例えば、夏至(6月21日頃)から5日目頃までが初候「乃東枯」、次が次候「菖蒲華」、最後が末候「半夏生」と続きます。
天保暦以降の「日付割り当て廃止」
寛政暦以前は、1年の長さを72等分する「平気法」で候の入り日を決めていました。しかし天保暦(1844年)から二十四節気を定気法で定める一方で、「七十二候を日にちまで割り振ることはやめた」のが原則です(『新法暦書続編』「今亦沿之並廃配日歩法」)。懐中暦では二十四節気の欄に3つの候をまとめて記載する方式がとられ、明治7年〜17年の略本暦も同様でした。現在もこの方針が受け継がれ、国立天文台の暦要項に七十二候の日付は掲載されません。
例外:半夏生
半夏生だけは例外で、天保暦でも日付が記載され続けました。現在は夏至から数えて11日目頃(太陽黄経100度)を「半夏生」として雑節の一つに数えられます。もともとは夏至の末候「半夏生(はんげしょうず)」に由来します。
七十二候一覧(72候)
立春(第1候)起点の七十二候全72候の一覧です。各候の読み方と意味を併記します。
| No | 節気 | 候名(読み) | 意味 |
|---|---|---|---|
| 1 | 立春 初候 |
東風解凍はるかぜこおりをとく | 春の東風(こち)が厚い氷を解かし始める。 |
| 2 | 立春 次候 |
黄鶯睍睆こうおうけんかんす | うぐいすが山里で鳴き始める。 |
| 3 | 立春 末候 |
魚上氷うおこおりをいずる | 割れた氷の間から魚が飛び出す。 |
| 4 | 雨水 初候 |
土脉潤起つちのしょううるおいおこる | 雨が降り、土が湿り気を含む。 |
| 5 | 雨水 次候 |
霞始靆かすみはじめてたなびく | 霞がたなびき始める。 |
| 6 | 雨水 末候 |
草木萌動そうもくめばえいずる | 草木が芽吹き始める。 |
| 7 | 啓蟄 初候 |
蟄虫啓戸すごもりむしとをひらく | 冬籠もりの虫が地上へ出てくる。 |
| 8 | 啓蟄 次候 |
桃始笑ももはじめてさく | 桃の花が咲き始める。 |
| 9 | 啓蟄 末候 |
菜虫化蝶なむしちょうとなる | 青虫が羽化して紋白蝶になる。 |
| 10 | 春分 初候 |
雀始巣すずめはじめてすくう | 雀が巣を作り始める。 |
| 11 | 春分 次候 |
桜始開さくらはじめてひらく | 桜の花が咲き始める。 |
| 12 | 春分 末候 |
雷乃発声かみなりすなわちこえをはっす | 遠くで雷が鳴り始める。 |
| 13 | 清明 初候 |
玄鳥至つばめきたる | つばめが南から渡ってくる。 |
| 14 | 清明 次候 |
鴻雁北こうがんかえる | 雁が北へ渡っていく。 |
| 15 | 清明 末候 |
虹始見にじはじめてあらわる | 雨上がりに虹が現れる。 |
| 16 | 穀雨 初候 |
葭始生あしはじめてしょうず | 葦が芽を吹き始める。 |
| 17 | 穀雨 次候 |
霜止出苗しもやみてなえいずる | 霜が終わり、稲の苗が育つ。 |
| 18 | 穀雨 末候 |
牡丹華ぼたんはなさく | 牡丹の花が咲く。 |
| 19 | 立夏 初候 |
蛙始鳴かわずはじめてなく | 蛙が鳴き始める。 |
| 20 | 立夏 次候 |
蚯蚓出みみずいずる | みみずが地上に這い出る。 |
| 21 | 立夏 末候 |
竹笋生たけのこしょうず | 竹の子が生えてくる。 |
| 22 | 小満 初候 |
蚕起食桑かいこおきてくわをはむ | 蚕が桑を食べて育ち始める。 |
| 23 | 小満 次候 |
紅花栄べにばなさかう | 紅花が盛んに咲く。 |
| 24 | 小満 末候 |
麦秋至むぎのときいたる | 麦が熟し、麦秋を迎える。 |
| 25 | 芒種 初候 |
螳螂生かまきりしょうず | 螳螂が生まれ出る。 |
| 26 | 芒種 次候 |
腐草為蛍くされたるくさほたるとなる | 腐った草から蛍が生ずる。 |
| 27 | 芒種 末候 |
梅子黄うめのみきばむ | 梅の実が黄ばんで熟す。 |
| 28 | 夏至 初候 |
乃東枯なつかれくさかるる | 夏枯草が枯れる。 |
| 29 | 夏至 次候 |
菖蒲華あやめはなさく | あやめの花が咲く。 |
| 30 | 夏至 末候 |
半夏生はんげしょうず | 半夏(からすびしゃく)が生える。 |
| 31 | 小暑 初候 |
温風至あつかぜいたる | あたたかい風が吹いてくる。 |
| 32 | 小暑 次候 |
蓮始開はすはじめてひらく | 蓮の花が咲き始める。 |
| 33 | 小暑 末候 |
鷹乃学習たかすなわちわざをならう | 鷹の幼鳥が飛び方を覚える。 |
| 34 | 大暑 初候 |
桐始結花きりはじめてはなをむすぶ | 桐の実がなり始める。 |
| 35 | 大暑 次候 |
土潤溽暑つちうるおうてむしあつし | 土が湿り、蒸し暑くなる。 |
| 36 | 大暑 末候 |
大雨時行たいうときどきふる | 時折大雨が降る。 |
| 37 | 立秋 初候 |
涼風至すずかぜいたる | 涼しい風が立ち始める。 |
| 38 | 立秋 次候 |
寒蝉鳴ひぐらしなく | ひぐらしが鳴き始める。 |
| 39 | 立秋 末候 |
蒙霧升降ふかききりまとう | 深い霧が立ち込める。 |
| 40 | 処暑 初候 |
綿柎開わたのはなしべひらく | 綿を包む萼(がく)が開く。 |
| 41 | 処暑 次候 |
天地始粛てんちはじめてさむし | ようやく暑さが鎮まる。 |
| 42 | 処暑 末候 |
禾乃登こくものすなわちみのる | 穀物が実る。 |
| 43 | 白露 初候 |
草露白くさのつゆしろし | 草に降りた露が白く光る。 |
| 44 | 白露 次候 |
鶺鴒鳴せきれいなく | せきれいが鳴き始める。 |
| 45 | 白露 末候 |
玄鳥去つばめさる | つばめが南へ帰っていく。 |
| 46 | 秋分 初候 |
雷乃収声かみなりすなわちこえをおさむ | 雷が鳴らなくなる。 |
| 47 | 秋分 次候 |
蟄虫坏戸むしかくれてとをふさぐ | 虫が土中の穴をふさぐ。 |
| 48 | 秋分 末候 |
水始涸みずはじめてかるる | 水が干上がり始める。 |
| 49 | 寒露 初候 |
鴻雁来こうがんきたる | 雁が渡ってくる。 |
| 50 | 寒露 次候 |
菊花開きくのはなひらく | 菊の花が咲く。 |
| 51 | 寒露 末候 |
蟋蟀在戸きりぎりすとにあり | きりぎりすが戸辺で鳴く。 |
| 52 | 霜降 初候 |
霜始降しもはじめてふる | 霜が降り始める。 |
| 53 | 霜降 次候 |
霎時施こさめときどきふる | 小雨がしとしと降る。 |
| 54 | 霜降 末候 |
楓蔦黄もみじつたきばむ | もみじや蔦が黄葉する。 |
| 55 | 立冬 初候 |
山茶始開つばきはじめてひらく | 椿の花が咲き始める。 |
| 56 | 立冬 次候 |
地始凍ちはじめてこおる | 大地が凍り始める。 |
| 57 | 立冬 末候 |
金盞香きんせんかさく | 水仙の花が香り咲く。 |
| 58 | 小雪 初候 |
虹蔵不見にじかくれてみえず | 虹を見かけなくなる。 |
| 59 | 小雪 次候 |
朔風払葉きたかぜこのはをはらう | 北風が木の葉を払いのける。 |
| 60 | 小雪 末候 |
橘始黄たちばなはじめてきばむ | 橘の葉が黄葉し始める。 |
| 61 | 大雪 初候 |
閉塞成冬そらさむくふゆとなる | 天地の気が塞がり冬となる。 |
| 62 | 大雪 次候 |
熊蟄穴くまあなにこもる | 熊が冬籠もりのため穴に隠れる。 |
| 63 | 大雪 末候 |
鱖魚群さけのうおむらがる | 鮭が群れをなして川を上る。 |
| 64 | 冬至 初候 |
乃東生なつかれくさしょうず | 夏枯草が芽を出す。 |
| 65 | 冬至 次候 |
麋角解さわしかのつのおつる | 大鹿が角を落とす。 |
| 66 | 冬至 末候 |
雪下出麦ゆきわたりてむぎのびる | 雪の下で麦が芽を出す。 |
| 67 | 小寒 初候 |
芹乃栄せりすなわちさかう | 芹がよく生育する。 |
| 68 | 小寒 次候 |
水泉動しみずあたたかをふくむ | 地中で凍った泉が動き始める。 |
| 69 | 小寒 末候 |
雉始雊きじはじめてなく | 雄の雉が鳴き始める。 |
| 70 | 大寒 初候 |
款冬華ふきのはなさく | ふきのとうがつぼみを出す。 |
| 71 | 大寒 次候 |
水沢腹堅さわみずこおりつめる | 沢に氷が厚く張りつめる。 |
| 72 | 大寒 末候 |
鶏始乳にわとりはじめてとやにつく | 鶏が卵を産み始める。 |
春の七十二候
立春から穀雨まで。雪解けと芽吹き、桜と燕、雷と虹——万物が蘇る候が続きます。
夏の七十二候
立夏から大暑まで。蛙と蛍、蓮と桐、鷹と蚕——生命が満ち溢れ、暑さが深まる候が並びます。
秋の七十二候
立秋から霜降まで。涼風と露、菊と雁、紅葉と霜——夏から冬へ移ろう候が続きます。
冬の七十二候
立冬から大寒まで。凍てつく大地と雪、角を落とす鹿と冬籠もりの熊——静寂と萌芽が同居します。
日本の七十二候と中国の違い
七十二候は古代中国で生まれ、日本には暦とともに伝来しました。当初は中国渡来の候がそのまま使われていましたが、江戸時代前期の天文暦学者・渋川春海(しぶかわ しゅんかい)が貞享暦(1685年)を作る際、日本の気候や生物に合わせて改訂しました(新制七十二候)。その後 宝暦暦(1755年)でも一部が修正され、現在の日本式七十二候になりました。
代表的な改訂例(春分)
- 中国式:玄鳥至(つばめ来る)・雷乃発声(雷鳴がとどろく)・始電(稲光が初めて光る)
- 日本式:雀始巣(すずめが巣を作る)・桜始開(桜が咲き始める)・雷乃発声(雷が鳴り始める)
このように、日本では桜や雀など日本の風物に置き換えられ、より日本の季節感に近づけられました。国立天文台 暦Wikiによれば、改訂によって概ね非科学的な内容はなくなりましたが、「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」のように最後まで残った候もあります。
歴史と起源
古代中国での成立
七十二候の原型は古代中国に求められます。『呂氏春秋(ろししゅんじゅう)』に記された季節の記事を、漢の儒者が『礼記(らいき)』月令に載せて伝えたものが原型とされます(国立天文台 暦Wiki)。北魏の「正光暦」から暦に記載されるようになり、その後 各時代の暦で改訂が重ねられました。
日本への伝来と渋川春海の改訂
日本には暦とともに伝来し、長く中国渡来の候がそのまま使われていました。江戸時代に入ると、800年余り続いた宣明暦に代わって、渋川春海が日本初の国産暦法「貞享暦」を作成(貞享2年=1685年施行)。この際、春海は七十二候を日本の気候・生物に合わせて改訂し、新制七十二候を定めました。その後 宝暦暦(1755年)でも一部が修正され、現在に至っています。
明治改暦と現代
明治6年(1873年)のグレゴリオ暦採用後も、七十二候は暦注として存続しました。ただし天保暦以来「日付に割り振らない」方針が継承され、明治7年〜17年の略本暦では各節気の欄に3候をまとめて記載する方式がとられました。現在、国立天文台が発行する「暦要項」には二十四節気や雑節は掲載されますが、七十二候の日付は掲載されません。半夏生だけは例外で、雑節として現在も日付が示されています。
現代での楽しみ方
七十二候は農事暦として作られましたが、現代では実用的な指標というより、季節の移ろいを味わう文化的な言葉として親しまれています。いくつかの楽しみ方を紹介します。
手帳・カレンダーに書き添える
今日の候を手帳やカレンダーの余白に書き添えるだけで、1日の始まりに季節を意識できます。「東風解凍」「桃始笑」「菖蒲華」「霜始降」など、五文字の候名は簡潔で美しく、書くほどに季語の世界が身近になります。
俳句や季節の手紙の言葉選び
七十二候の多くは「うぐいすが鳴く」「桜が咲く」「ひぐらしが鳴く」「雁が渡る」など、俳句の季語と重なります。候名をたどると季語の背景にある自然のタイミングが見え、季節の手紙や挨拶文の言葉選びにも役立ちます。
暮らしと自然の観察
「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」「虹始見(にじはじめてあらわる)」「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」など、候は身近な自然の変化を教えてくれます。子どもと一緒に「今の候」を確かめながら散歩すれば、五感で季節を捉えるきっかけになります。